前回は、スタンフォード大学 ジョン・D・クランボルツ教授のキャリアプランに役立つ「計画された偶発性理論」から成功者に見られる共通した「行動指針」のお話をしました。
ジョン・D・クランボルツ教授の著書を読んでエネルギーをもらった人は自律的に動くので、行動指針を意識すると思います。
一方でネガティブな資質の人には、潜在意識に入り込んだ「愛着」と深く関係しています。「愛着」とは安全基地のことです。安全基地を持てなかった人は「行動指針」をガイドにしょうとは思えないのです。
それにしてもこれをガイドラインにする資質を持った部下が、少なくて困っているリーダーが多いと思います。
今回はそのあたりの困ったことにどう対処するか、ご提案したいと思います。
運を作り出せる資質
行動指針
- 「好奇心」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること
- 「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
- 「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
- 「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
- 「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
行動指針をガイドラインにできる人を想像すると、たとえば余命3年と宣告されながらも、80歳でエベレスト登頂した三浦雄一郎さんなどを思い浮かべます。
三浦雄一郎さんは、そこに到達する以前から大記録を樹立し、その精神と価値観は子育てにも反映されてきました。
しかし、世の中には無邪気な子どもの心が強い人は少なく、従順な子どもの心の強い人が多いようです。
挑戦的な要素の高い会社には、無邪気な子どもの心が強い人が集まり、中小零細になると従順な子どもの心の強い人が増える傾向にあります。
その人らの言動、価値観が会社風土を作っているといっても過言ではありません。
企業風土を塗り替える
従順な子どもの心が強い人が多いと、5つの行動指針をガイドにして進むことはほとんどできません。
その前に企業風土、さらに個人の価値観という問題に直面します。
負の連鎖を引き千切るのがリーダーの大きな仕事になります。
数値目標が、その役割を担いますが、まずここで腰が引けます。
あるいは、表向きは反論もなく受け入れますが、内心では従順な子どもの心が主体的になるので、ネガティブな反応が起こります。
これを突破するときに、個々のスキルに見合った指示です。
人間的な配慮と具体的な指示に大別されます。
最終的に到達する地点は「自律したマンパワー」の完成ですが、いまはまだ最初の課題地点なので、「具体的な指示」を中心に、スキルに応じて「人間的な配慮」を加える状態です。
数値目標の達成に徹します。
この段階ですでに従順な子どもの心が顔を出します。
従順な子どもというのは、反抗しません。受け入れてくれますが、言われたことしかしない。
そこには「従順な子ども」の生活の知恵が働く仕組みがあります。
やったけどダメだった。だからやりたくてもできない。という論法です。
つまり5つの行動指針がないのが、従順な子どものスタイルです。
- 「好奇心」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること
- 「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
- 「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
- 「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
- 「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
それを承知で成功させるには、成功事例の積み重ねしかないので、目標達成が解決策なのです。
「目標達成ができないのに、その解決のために、目標達成しかない」というと矛盾していますが、本当だから仕方がありません。
「やったけどできないので仕方がありません」と「目標達成するしかないので仕方がありません」のぶつかり合いになります。
なので「目標達成できる具体的な指示」しか方法はありません。
これを考えて、実行するのがリーダーの仕事になります。
そこで部下を使って目標を達成するリーダーと、自分が頑張るり−ダーに分かれます。
どちらでもない場合は、空中分解します。
従順な子どもを無邪気な子どもに変える
従順な子どもの心は、昨日、今日、自分の心構えをを支配するようになったものではなく、時間をかけて作り上げた態度です。
これを改善するには、自分自身が意識する必要があります。
意識していないことを意識させることは難易度が高いです。
なので、無意識の状態を使って、改善に取り組みます。
改善方法は、無邪気な子どもの心を奨励する取り組みをします。
「無邪気な子どもの心」の発露を促す言動を増やして、「従順な子どもの心」を抑え込みます。
「無邪気な子どもの心」の発露を促す
増やす言葉
- それは面白そうですね
- やってみよう
- 私も仲間に入れてください
- ゆかいな人ですね
- ~と感じる
- ユーモアや冗競を言う
- おいしいですね、きれいですね
- 楽しみましょう
増やす態度
- 不快感に多くの時間を使わない
- ポジティブな空想を楽しむ
- 映画やスポーツなど娯楽を楽しむ
- 楽しい気分を楽しむ
- ああ、面白くない
減らす言葉
- 悲しい
- 淋しい
- もういいです(感情的になってコミュニケーションを打ち切る)
- すみませんを何度も言う
- できません
- 仕方ありません
減らす態度
- 暗い顔をして、ため息をつく
- 受身的姿勢
- 明るい面を見ない
- 他人のせい、状況のせいにする
以上のような言動は、無邪気な子どもの心を増やすものです。
保護的な母親の心を増やす
無邪気な子どもの心と併せて、保護的な母親の心を増やすことも効果があります。
増やす言葉
- よくできたね
- そこがあなたのいい点です
- 相手の気持ちや感情を認めることば
- **さんが褒めていましたよ
- 最近どう?
- あなたはうちの会社の大事な人なんですよ
増やす言動
- 個人的な関心を強める
- 相手のネガティブな言動に反応しない
まとめ
職場で言葉や態度に出すかどうかは、職場の雰囲気が影響します。
しかし、内心でどうなのか、その点が気になります。
上司の前では出さない態度や言葉でも、同僚の前ではネガティブな言動が多い場合もあります。
これを治していくのは、本人の程度問題に左右されますが、上司としては5つの行動指針をガイドにする上で、克服する必要があるので、次の言動を多くするようにしていきましょう。
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