いつの時代も、変革が起こるのは、ひとりからです。
やがてその個人の熱意が伝播して、小さなグループに発展します。
それが全体の20パーセント以上になると一人歩きをはじめ、大きな変革につながっていくことを経験した人は、個人事業主、フリーランス、ひとり会社から持続可能な社会の担い手となって活動されていると思います。
社会の仕組みがそうなっているからです。同時期に同じことを考える人物が現れるのは人間の仕組みです。複雑性というキーワードがブームになっ他とき、痛感された方も多いと思います。
では、持続可能な社会(競争優位)の担い手になるために必要な働き方について考えてみます。
学習する組織を創造する
世界を襲ったパンデミック、自然災害の脅威は、さまざまな危機を浮き彫りにしています。
金融危機、国家の財政危機、資源問題、食料問題、国家をビジネスとする危険な思想を持った地下組織の存在など、持続可能な社会が危機に瀕しています。
ニューノーマルが求められる今ほど「学習する組織」が強く求められる時代はないでしょう。
学習する組織とは、目的を達成する能力を効果的に伸ばし続ける組織であり、その目的はみんなが望む持続可能な社会の創造です。
持続可能な社会を実践する
持続可能な社会を創造する働き方とは、どんな働き方でしょう?
レジ袋をエコバックに替える、ビニールのストローを紙ストローに替えて提供する・・・持続可能な社会を創造するとは単にそういうことではなく、どのような衝撃にも耐え、復元するしなやかさを具現しながら、環境変化に適応し、学習し、自らをデザインできる力を発揮して進化し続ける実践です。
持続可能な働き方
「学習する組織」で認知度が高まったピーター・センゲ氏が提唱した「あり方」は、20数年前に遡ります。先駆的な仕事は、そうした未来の組織課題や社会課題に対応するための新しい組織像を、20年以上前から示していたのです。
学習の質と量
センゲ氏のメッセージはシンプルです。
学習する組織では、競争優位は個人と集団の両方の継続的学習から生まれるということです。裏返すと継続的な学習が行われない企業は競争から脱落するということです。
気になるのは「学習の質と量」です。
まず、すでにお分かりのように「個人と集団」が相互依存の関係にあることです。
自己マスタリー
自己マスタリーという言葉をご存知ですか?
あるいは実践されているでしょうか?
自己マスタリーとは、剣を通じて人格まで高めたバガボンド(宮本武蔵)にような「熟練」の技能です。
業務に必要なスキルを高めることを通じで、自身の内面の充実が図れる能力です。
「外的キャリア」と「内的キャリア」
キャリアには「外的キャリア」と「内的キャリア」があります。
外的キャリアとは、個人が経験してきた仕事内容や実績、所属した組織や地位、人脈をいい外側から見えやすいもので「形」として表現できます。
一方、「内的キャリア」は、経験の裏側にあるもので価値観や動機など見えにくいもので仕事や人生を動かしている「想い」「あり方」で、外側から見えないもので、対する人の感じる能力(=内的キャリア)に比例して理解できます。
働き方は「外的キャリア」と「内的キャリア」の相互が影響しています。
会社の限界
一般に上司と部下の関係はキャリア差によって決まっています。
キャリアの高い人がキャリアの低い人を指導・アドバイスしますが、『「外的キャリア」は低いが「内的キャリア」は高い』(あるいはその逆)というアンバランスが生じます。
内的キャリアの理解は、対する人の感じる能力(=内的キャリア)に比例して理解できますので、感じる能力が低いと理解が進まないという現実に直面します。
逆に指導する側の内的キャリアが低いと、「見切り」が発生して退職という事態が頻発します。
キャリアの揺らぎ方でモチベーションの上下、転職、帰属意識も動的な変化が生じます。
チームの学習能力はひとりの自己マスタリーで決まる
自己マスタリーが高さは、そのままチームの学習意欲に影響します。
個人が自己の将来像と現状との落差を見すえ、積極的に学ぶ動機付けできる能力が自己マスタリーです。
つまりチームの学習能力は属する人が自己の将来像と現状との落差を知って積極的に学ぶ動機付けに高めることができるかどうかにかかっています。
人づくり改革(=働き方改革)
政府の「人づくり改革」の骨子は、次の5つで構成されています。
- 無償化を含む教育機会の確保
- 社会人のリカレント(学び直し)教育
- 人材採用の多元化、高齢者活用
- 人的投資を核とした生産性向上
- 全世代型の社会保障への改革
以上の5つのテーマになります。
世代を超えて幸福に働ける社会とは、なにがあっても100歳まで暮らせる社会の実現です。そのための人づくりです。
これを支えるのが、自分にとって必要だと思うことを達成できるように、自分自身を変革すること=自己マスタリーです。
学習する組織
- システム思考
- 自己マスタリー
- メンタルモデル
- 共有ビジョン
- チーム学習
学習する組織には5つの要素があるといいます。
組織がシステム思考できるには、ふさわしい自己マスタリーから、メンタムモデル、共有ビジョン、チーム学習が創造されるプロセスが必然で起こります。
システム思考
システム思考とは、複雑なシステムの根底にある「構造」をとらえ、影響力の大きい変化と小さい変化を識別、最適を選択できる能力。
たとえば、システム思考ができないドクターに膝が痛いと言えば切って人工関節を入れると返ってきます。システム思考するドクターは年齢を考え、手術に係るリスクを計算し、生涯何度手術が必要か、そのためのリハビリ年数を総合計して、いまは辛いが痛みに耐えて過ごす方が結果的に痛みの期間は少ないから手術はしない、薬を服用することも不要と診断します。
メンタルモデル
「メンタルモデル」とは、われわれの心に固定化されたイメージや概念のことです。
世のなかをどうキャッチするか、どう行動するかを決定うえで影響します。
非常に個人的な「認知の歪み」が反映されます。代表的な認知の歪みの事例です。
- 全か無か思考(二分法的思考)
- 一般化のしすぎ
- 心のフィルター
- マイナス化思考(プラスの否定)
- 結論への飛躍
• 心の読みすぎ
• 先読みの間違い - 拡大解釈(破滅化)と過小評価
- 感情的決め付け
- すべき思考
- レッテル貼り
- 個人化(責任転嫁)
共有ビジョン
リーダーシップに関して数千年ものあいだ幾多の組織を導いてきたひとつのアイデアがあるとすれば、それは、達成すべき将来のイメージを共有することであろう。何らかの偉業を成しとげた組織で、目標や価値観や使命が組織全体に浸透していない例をあげるのはむずかしい。(「最強組織の法則」)
共有ビジョンが浸透していないまま、事業を進めるオーナーが多い。特に零細・中小では顕著だ。伝えたら実行するものと思い込んで(認知に歪み)いるのかも知れない。
実際はスティーブ・ジョブス氏が言うように「そこから様々なトラブルが発生するので、ひとつひとつ解決しないと実際にはなにも始まらない」というのが真実です。
センゲ氏は「最強組織の法則」p232で「共有ビジョンは個人のビジョンから生ずる」と訴えています。
共有ビジョンは「自己マスタリー」の「価値観」と相互補完の関係にあります。
「個人のビジョン」を明確にし、それが共有ビジョンとどう合致し、個人にどう返ってくるかを共有します。「随所に主となれば、立つところ皆真なり」なのです。
チーム学習
チームが学習するようにするには時間がかかります。個人は学習しても組織は学習しないからです。
チームが学習するにはチームワークの本質をチームの土壌に浸透させる必要があります。
チームワークとは、自律型マネジメントによってチームを構成するひとりひとりが自分の責任を果たせることです。
自律型マネジメントが機能するように、まずひとりひとりが自分の責任を果たせようにサポートをしてあげる誰かが必要です。
手伝ってもらった人に、サポートした人の時間が自分のことに費やす時間が減少したことを認知できる能力(=内的キャリア)が必要です。
この事実は対話によってしか理解できません。手伝ってもらった人の自己マスタリーを育む自己マスタリーが必要です。
システム思考ができていないとチーム学習が始まらないことを意味しています。
つまり競争優位は個人と集団の両方の継続的学習から生まれるということです。
競争優位のポジション
競争優位のポジションを一旦獲得すれば継続を怠らなければ変わらないと言えます。(持続可能な社会に通じます)
競争優位とは何かをしたからでなく体質だとお分かり頂けると思います。
たったひとりの自己マスタリーのあり方で、どのような危機にも対応できる体質になれるのです。
まとめ
レジ袋をエコバックに替える、ビニールのストローを紙ストローに替えて提供する・・・やっていることは同じでも、その裏側にある学習力で、圧倒的な競争優位力は磨かれます。
それは将来像をどう描き、現状をどう認識するか、ギャップを知ることにかかっています。
ギャップを知っても埋める方法が得られないと思うかも知れません。
確かにそうですが、ギャップを埋める道筋を発見するのも自己マスタリーの影響なのです。
競争優位は自己マスタリー(5つの要因)で体質になります。
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