人々の判断、意思決定の研究でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、経済学と認知科学を統合した行動ファイナンス理論及びプロスペクト理論で有名ですが、「人は自分の人生にどのくらい満足しているか。どのくらい幸せかということに関して、正確にも正直にもなれない」と言ってます。
幸せ度の測定をするなら、瞬間瞬間のそれを測定するしかなく、その答えを綜合すると一貫性が見えてくるとしたのです。夫婦喧嘩したとき後に、この人と結婚して良かったとは思えないものです。
つまりずっとポジティブな人もいないし、ネガティブな人もいません。思い込みなので自分にラベルを貼るのは客観的でないし、そもそも客観性があるのか、疑わしいのです。
なので、ここで言いたいのは、あなたのリーダーシップを他者と比べる必要もないし、思い込みに囚われず、ポジティブな思考を強めたければ、ポジティブな行動をするようにしましょうというアプローチです。
脳で考え方が決まるのか。考え方で脳が変わるのか。
プラスの感情が長続きすることは、リーダーシップにとってポジティブな影響を与えます。つまりポジティブ思考に変えるには、ポジティブな行動が有効だということです。
たとえば月曜の朝は瞑想する。火曜日のランチは友達とする、水曜日の夜は運動する。木曜の夜は、資格勉強をする・・など、主体的にスケジュールを組んでいきます。
そして居心地の良い体験を重ねていくだけで、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月とプチ成功体験をすることで。面倒くさいを避けるのではなく満足感を体験、「いいね」の実感を繰り返します。脳で考え方が決まるのではなく、考え方で脳のあり方が変わることを体験します。
脳で生じるダイナミックな変化
生まれたときから目が不自由な人が、点字(指で触れて、小さな点々の凹凸を読んでいく方法)を勉強するとします。そのとき、その人の脳のなかで伺が起こるでしょう。
体の動きをつかさどる「運動皮質」の、指の動きをコントロールする領域と、体の感覚をつかさどる「体性感覚皮質」の、指からの触覚刺激を受けとる領域の、大きき、活動量が増えます。そして、視覚野(目から送られてくる信号を処理し、それを視覚イメージに変換する場所)が驚くべき。転身。をとげて、目からの入力でなく、指からの感覚を処理するようになるのです。
点字を読むことは、くり返しくり返し新しい触覚的世界について、学習をするということです。それによってこんなダイナミックな変化が起こるのですね。
さらに脳は、内側からのメッセージに対しても変化します。
自分がどんなことを考えるか、どんなことを意図するかということで、脳そのものは変わっていくのです。
瞑想で事実と思考が別だと体験する
瞑想は考えで脳が変わることのもっとも貴重な体験になります。
私たちは事実と思考が同じだと思い込んでいますが、瞑想を通じて、事実と思考がべつであることを 認識します。
たとえばふつう、痛みは痛みとしか認識されませんが、自分の体の感覚に集中してみると、自分が痛みだと思っていたものは、単なる概念でしかなく、その概念をとり払ってみると、ただ感覚のまとまりがあるだけだと気づきます。
たとえば、足首から下のうずき、ような感覚だけがある。
結局、その感覚のまとまりが痛みとして知覚されるだけで、それを構成する要素にしっかりと集中してみると、不思議なことに、痛みでなくなるのです。
もちろん、こういった感覚が消えたわけではありません。
それらにかかわる方法が変わったのです。
どんな態度をとるようになったかというと、わざわざこの感覚を「痛み」という、イヤな概念で捉えるのではなく、「ああ、これは足がうずいているのだ」と思うだけになったのです。
しかし、痛みに対してこのように反応する(あるいは、反応しないようにする)方法は簡単に身につくわけではありません。
一週間朝から晩まで、ずっと隈想をやり続けることで、解ってきたのです。
「確かに足は疼いているけれど、これらは別々の感覚で、わざわざ”痛み”という言葉をつけることもない」と判断をつけずに物事を見ることができるようになるのです。
まとめ
あなたのリーダーシップを他者と比べる必要もないし、思い込みに囚われず、自分がなにを考えるか、どんなことを意図するかで、脳そのものは変わっていくことに注目しましょう。ポジティブな脳だからハッピーを意図できるわけではありません。ハッピーを意図すればハッピーな脳になります。嫌なことがあっても吹っ切るには、日頃からポジティブな脳を育む戦略は有効です。
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