こんにちは、マインドフルネスなファイナンシャルプランナーのミノルです。
チーム学習は、ダイアログ(ダイアログボックスの略)から始まります。
チームのメンバーが思い込みを保留し、「一緒に考える」力のことです。
語源は、ギリシア人のディアロゴス(dialogos)で、「グループの中で思考が自由に流れること」で、つまり「個人では得られない洞察を、グループとして見つけることができる」という意味です。
ダイアログの習慣は、アメリカン・インディアンをはじめとする多くの「原始的」文化の中に維持されている一方で、近代的社会ではほとんど完全に失われています。
今日、このダイアログの原理や実践が、システム思考で再発見され、現代の文脈に置き換えられようとしています。
ダイアログは一般的なディスカッションとは異なります。
ディスカッションの語源は、パーカッション(衝突)やコンカッション(激しい振動)と同じで、文字通り、勝者総取りの競争の中でのアイデアの応酬のことです。
では、チーム学習のやり方のサンプルを通じて、チーム学習の本質とやり方に心を飛ばしてみてください。
チーム学習のサンプル事例
チーム学習を山田さん(仮称)を事例に具体的に見ていきます。
山田さんは、いつも思っていました。
「私は何をしても、他者の視線が気になって思っているように行動ができない。気持ちの行動がついてこない。」と自己嫌悪に苛まれ「自分はだめだ」と自己否定感に束縛されいる。
きっと周囲の人はあざ笑っているだろうなという気がする。
そんな状態で勤務していると、マネジャーから「ワールドカフェダイアログ」というセッションに参加してみないかと勧められました。ダイアログとは「対話」という意味です。
ワールドカフェとは、一種のファシリテーション・プロセスのことで、お茶を飲んでくつろいでいるような雰囲気で会議(対話)をすることです。
メンタルモデルを棚上げにする
怖い気持ちがありましたが、4〜5 人ほどのテープルが10ほど用意されていて、リラックスした雰囲気で気持ちも軽くなりました。
規模は様々で一定時間が過ぎれば、テーブルのメンバーを入れ替えるので、1,000人以上でも実施できます。
テーブルをラウンドして少人数で対話することを繰り返し行います。
一定の時間でメンバーの組み合わせを変えながら4~5人単位の小グループで話し合いを続けることで、あたかも参加者全員で話し合っているような効果を得られるます。
メンタルモデルを棚上げにするので相手の意見を聞きやすく、自分の意見も言いやすいのが特徴です。
ワールドカフェの特徴
ワールドカフェの特徴は
・カフェでお茶をしているようなリラックスした雰囲気
・気持ちにゆとりを持って話し合いができる
・4~5人単位の小グループでテーマに沿った対話ができる、
・メンバーの組み合わせも変わるのでアイデアや意見を出しやすい
・自分の意見も尊重されるので、相手の意見に自然と耳を傾けられる
・独特の空間で一体感を持った対話ができる
・メンバーを変えながら、4~5人単位の小グループで対話するので、メンタルモデルが棚上げになり、時間の経過とともに自意識が薄れて対話に集中するようになっていきます。
安心感につながる共感
山田さんは、参加者の意見を聞いていくうちに、「みんな大変なんだ」ということがわかってきました。 「みんな一緒」というのが勇気づけになり、思い切って自分の胸中を話してみました。
・「そんなふうには見えないけど・・・」という人もいれば、
・「わからないことは聞くようにしています」という人もいました。
・「わからないことはとことん聞いて回る」→ちょっと形は違うけど
ワールドカフェのアレンジだなあと感じたといいます。
・「どんな人にも良い点がある。聞いて回るとともに良い点を参考にするようにしている」という意見もありました。
・わからないことを聞いて回って成功例、失敗例を集めていると共通点があることを発見したという意見もありました。
ストーリーテリングの手法
山田さんは、自己紹介するときに、ストーリーテリングの手法も使いました。
アメリカ映画で有名なボクサー「ロッキー」になったつもりで、いまはまだチャンピオンになれない自分です。
人は健全なチャレンジ精神が好きです。自分への勇気づけになるからです。
ワールドカフェでは、勇気くじき思考の人は参加していないはずです。
応援してあげようという人も出てきて、気持ちに応えたいと思いました。
チーム学習のコツ
チーム学習のポイントは「メンタル・モデル」を棚上げにすることです。
自分への思い込みを外すことで、ありのままに観察することができます。
つまり学習とは、仕事上のさまざまを学習するだけでなく、それ以上に潜在意識にあるネガティブな情報に惑わされず自分を高めることです。
その結果、少しずつ潜在意識が塗り変わり、メンタルモデルを人生とライフプランに最適化するのです。
肯定する者は、自らを否定して学ぶ
ブッダは入滅寸前に十大弟子の一人アーナンダから、亡き後、どうすればいいのか?と問われ、「自灯明・法灯明」を説きます。
ただ誰かから聞いたからといって、それを信じるな。
何代も受け継がれたからといって、その伝統を信じるな。
たくさんの人の間で語られ、噂になったからといって、それを信じるな。
あなたが所属する宗教の聖典に書かれているからといって、それを信じるな。
ただ貴方の先生や先輩の権威だからといって、それを信じるな。
しかし、観察と分析を行なった上で道理に合っていて、すべての者の利益になると貴方がわかったならば、それを信じなさい。
(自灯明・法灯明)
ブッダは「ひたすら学べ」と教えたのです。
否定、否定、否定の連続を超えて、真理の因果関係を「曼荼羅」のように掌握できるようになってやっと肯定できるのです。
学べば学ぶほど、自分の無知を痛感し、学習は生涯続くことになります。
痛感することで自他肯定の精神はますます磨かれます。
人間関係の構えを正す
人間関係の構えには4つしかありません。4つの構えとは
- 自己肯定・他者肯定
- 自己肯定・他者否定
- 自己否定・他者肯定
- 自己否定・他者否定
このうち望ましい関係は『自己肯定・他者肯定』だけです。
『自己肯定・他者肯定』は少ないのが現実です。
子育ての段階で「自己否定・他者肯定」を身につけてしまい、成長すると、払拭するために「自己肯定・他者否定」に転じるからです。
人には3つの心(5つの心)があります。
- 親の心(父の心。母の心)
- 大人の心
- 子供の心(無邪気な子どもの心・従順な子どもの心)
なかでも重要なのが、「無邪気な子どもの心」です。
「無邪気な子どもの心」こそ本来の自分です。
ただし、社会生活を営む上で、マナーを尊ぶ精神が必要で自他肯定でなければ他者を傷つけるので注意が必要です。
5つの心は誰にもありますが、人によってバランスが違います。
厳格な父の心が強い人もいれば、無邪気な子どもの心もいます。
「無邪気な子どもの心」は人間の原点ですが、子育ての段階で「しつけ」と称して子どもの欲求を抑圧させます。このときに大切なのが「愛着」です。愛着がセーブされると、子どもは不安から抑圧を受け入れます。すると「従順な子どもの心」が強くなります。
「従順な子どもの心」は、自己否定・他者肯定の構えで、他者の支配に甘んじる主体性のなさがリスクになります。往々にして引き換えに他者の庇護を期待する魂胆がひそんでいます。その意味では狡猾とも言えるので決して誠実とは言い難い構えです。
メンタルモデルを棚上げにするとは、『自己肯定・他者肯定』の構えでコミュニケーションすることです。ワールドカフェでメンタルモデルを棚上げにできても、組織がメンタルモデルを棚上げにできる風土でないと、うまくいきません。この事実を組織は認識しておかなければ一過性の体験に終わってしまいます。
自己防衛のパターンを突破する
人はメンタルモデルによって自己防衛しています。現実には自己防衛になっていないのは悲劇で、自己防衛によってますます自分を追い込んでいます。組織は知らず識らず、巻き添えを食います。
チーム学習でのダイアログは、学習の効果を阻害するやり取りのパターンをどのように認識するかを学ぶことでもあります。自己防衛のパターンは、往々にしてチームの行動パターンに深く埋め込まれています。気付かないままでいると、自己防衛のパターンが学習を阻害します。
自己防衛のパターンに気付き、創造的に表出させることで、学習を加速させられます。
まとめ
チーム学習は、自己防衛のパターンに気付き、創造的に表出させることで、仕事上のさまざまを学習を加速させられます。
学習するだけでなく、個人の根本的な悩みに手を差しのべます。
人は潜在意識にあるネガティブなメンタルモデルによって自己防衛しています。
個人的な自己防衛によってますます自分を追い込み組織を巻き添えにしています。
チーム学習は自然体でこの問題に向き合います。
正しいチーム学習は組織がメンタルモデルを棚上げにできる風土であることが前提であり、私=組織、組織=私であるために、人生とライフプランに最適化したメンタルモデルを個々個人に促し育む覚悟が必須です。
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