只管打坐〜「ただひたすらに」を「ただひたすらに」

禅とマネジメント
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私たちは努力しています。そして努力を意識しています。
うまくいかない時には、こんなに努力していると自己弁護します。
解ってほしいですよね。解ってもらえないとき、怒りがこみあげます。
事実前提の経営をされている会社に多いですね。
価値前提の経営の場合もありますが、確率が違うように感じます。
アンガーマネジメントのことも考えながら「禅とマネジメント」を考えたいと思います。

只管打坐(しかんたざ)

出典 http://buna-blog.at.webry.info/200902/article_3.html

禅で言う「只管打坐」(しかんたざ)とは、「ただひたすらになるまでただひたすらに坐禅をすること、」です。

禅宗には曹洞宗、臨済宗、黄檗宗の3つの宗派があります。「只管打坐」は曹洞宗永平寺の道元禅師が提唱された教えです。

ただ坐禅をしている姿とは、座禅していることも忘れた状態。坐禅は容易ではありません。
修行ですから容易なわけがありません、ひたすら努力をします。
坐禅をしていると雑念が湧いてきます。いま自分は努力していると思います。これでは修行になりません。

努力していることを忘れるほど努力します。これが「只管打坐」です。

しかし、道元禅師は努力しなさいとは言いませんでした、

反対にどんな努力もしてはいけません。しかし努力なしに心の安定を得ることはできないので、努力するしかありません。努力をしている自分を忘れるほど続けていたらどんどん純粋になっていき、努力している自分は消えてしまいます。と言う意味です。

私は思います。
努力している自分は消えてしまい。完成者になります。涅槃に行けます。
涅槃は俗世間でいう死に相当しますが、仏教でいう死は「生と死」です。
生と死はひとつのもの。それが本来の姿です。

仕事が楽しくない

 

「仕事に価値があるとは思えない。と悩む方もいます。

道元禅師なら「価値があってはいけない」と言われるかも知れません。
あるいは「どうでもいい」と返ってくるかも知れません。

人それぞれですが、仕事にどんな価値を求めているのでしょうか?
人から尊敬される?人に喜ばれる?
働きがいのある職場は、職場が用意してくれるものでしょうか?
仕事には成果主義と結果主義があります。

成果主義と結果主義

成果主義

結果の多寡ではなく、予め設定した目標に到達したか、しなかったで評価すること。
成果主義を現実のものにするには、目標を達成できるエキスパートが不可欠です。
エキスパートとは、目標への到達方法を知っている者です。
エキスパートは、経営の要であり、エキスパートとして行動することは数値責任制度で仕事をすることを意味します。エキスパートは 成果主義の象徴的存在です。
成果主義を成功させるには、価値前提の経営であることが必然になります。

結果主義(出来高主義)

結果主義は、事実前提の経営と深く結びついています。
達成率で評価するやり方で、出来高主義とも言い換えられます。

結果主義は、 目標への到達方法を知っているエキスパートが育成される迄の過渡期の尺度です。状況に応じた使い分けが必要です。また使い分けによって職位も変わります。

それにしても 、人を育成する仕組みが 破綻していると、いつまでたってもエキスパートが育たない状態では、ずっと結果主義で経営している会社も多いのが現実です。

過渡期にある会社は「成果主義」への転換をめざし、改善するための計画が必要 です。
それには、価値前提の経営に変更する必要があります。

「価値前提の経営」と「事実前提の経営」

「価値前提の経営」の反対が「事実前提の経営」です。
どのように違うのか見てみましょう。

価値前提の経営

価値前提の経営とは、たとえば顧客満足という価値観を実現するための経営のこと。

ビル・ゲイツ氏はコンピュータを知らなくても、お客さんを満足させればビジネスすべてはうまく行くと考えたでしょう。
価値前提の経営とは、企業理念や経営方針など組織が大切にする価値観を明確にし、価値観に基づいて行動する経営のことです。
挫折を乗り越えて邁進していく人は、価値観を大切にして価値前提の経営に取り組みます。
アップルのスティーブ・ジョブズ氏は、見えないところまで、品質にこだわりました。誰も見ないまでも、そのことが話題になり広まるにつれ、信者のようなファンを世界中に作りました。価値前提の経営は、目標達成に難題はつきものだと考えているので、計画もシビアです。あらゆる障壁を考え対策を講じます。それでも問題が生じた準備もしています。PDCAを繰り返し期間中に利益を出すようにしなければなりません。
しかし挫折こそ成功の扉なのです。

「どこが間違っているのか」を最小単位で追求することが基本です。分刻み、時間刻み、週単位、旬間単位、月単位、人によって、会社によって、違いますが、期限内に時間切れにならずにしょうとすれば自ずと答えは出る確率も高くなります。

もし、時間切れであきらめるということを繰り返していたら、成長がないことは明白です。
価値前提の経営では、この努力を努力と思わないのも特長的です。

事実前提の経営

事実前提の経営とは、出来高主義というように「できただけ」が事実です。
すでに出た結果を前提にしたもの、たとえば自社での実績を前提に選択する、あるいは業界の実績を前提にして選択する経営。

事実前提の経営が、結果主義を採っている、あるいは結果主義になってしまうのは、事実前提の経営をしているからです。価値前提が企業のビジョン、価値観、理念を出発点にして仕組みを作り作業を作るのに対して、事実前提は場当たり的なご都合主義です。

したがって仕組みも曖昧で場当たり的になってしまいます。
誰も好んで場当たり的なご都合主義を採用しようとは思っていない場合がほとんどですが、ご都合主義になってしまうのは、理念を基本にした経営をしないからです。

ですから、他社がしてるから我が社もというようなものが多いのが事実です。

理念というと、よく二文字、四文字の熟語スローガンが多いのですが、実際の仕事、作業に落とし込もうとしていないのが問題といえます。理念というと、それと同じと思う方が少なくありませんが、しっかり整理してもらいたいものです。

挫折を嫌い、ないものねだりをする人は事実前提の経営に取り組みます。
「やってみたけど、しかしダメだった。」
これを事実として認識していたら、ほとんどのことはできません。

成果主義

成果主義は、必ず教育・訓練、それに伴う考課・評価と共に導入しないと、単なるノルマになります。必ず教育・訓練、それに伴う考課・評価と併せて導入します。
成果主義が失敗するのは、個人のスキルやモチベーションをあげないまま、つまり仕事が果たせる能力がないままに、報酬などのインセンティブによって目標達成を求める点にあります。

誤って導入された成果主義は、価値前提の経営ではなく、名前ばかりの事実前提の経営であったことが目立ちました。
個人の能力と意欲に関心をもたないまま、業績は個人の責任としているケースの多いのが実態です。

簡単に言うと「インセンティブを用意したからやる気を出して勝手にやれ」みたいな面があります。これでがんばってくれたら楽ですが、結局出来ない奴はほっておけということになります。心のメカニズムを無視したやり方、人心への配慮が欠けているのが欠点だったため、人手不足に陥り「成果主義制度」は頓挫しました。

成果プロセス主義

成果プロセス主義は、本来の成果主義、あるいは成果主義の欠点を補う点を組み込んだものです。

成果主義の本来は自律を促すことにあります。
成果プロセス主義では、自分で自分の目標を決めて、自分自身で目標達成ができるように自分を管理する目標管理スキルが個人に問われます。

個人のスキルアップを目標達成可能レベルにまで引き上げることを条件にします。
個人にはハードな側面もありますが、自律のプロセスを評価するだけでなく、プロセスの共有によって必要なサポートもするわけです。

そこで大きな役割を果たすのが、自律のプロセスを共有し評価をする「等級別スキル基準書」です。「等級別スキル基準書」は業績のみの評価に偏らないように、能力開発や人間性も給与に反映するものです。

「等級別スキル基準書」は、行動を変える道具の役割、教育の道具となり、目標達成手段にもなります。

プロセスをマネジメント&コントロールしながら、「等級別スキル基準書」で成長を、業績で成果を、報酬で承認を、本人にフィードバックすることから、個人個人に安心を与え、チームに所属する多くの人の間で、自分の成長が実感できるようになります。

経営への参画意欲を持つのに必要なスキルアップを創出するうえで、「等級別スキル基準書」はその方向性を示し、現在の自分のレベルと、いま何を、いつまでに、何を身につけるのかを知ることができます。

そしてどのようにして身につけるかを自分と上司によって知ることができます。それを実行することで、業績と連動した報酬制度、つまり本来の成果主義が機能しますが、その結果は個人の幸福感にダイレクトに寄与します。

スキルとモチベーションと目標と承認が一体化することで、自尊感情が高まるからです。自尊感情が高まれば他者への尊重心も高まります。
それらが相互に影響しあい、従業員は同じベクトルに動き、企業は活性化します。

自律的に取り組んでくれることを望むトップや幹部にはこれ幸いの方法ですが、失敗している実例は、マネジメントを手抜きしたい人のもとで起こっているといえます。

自律は共感がコアです。

結果主義+成果主義は、共感がなくプロセスに無関心なために「結果主義」に陥ってしまうのです。もともと結果主義で経営している企業が、脱皮する手段として成果主義を導入するものに、単に形を導入しただけで誰も行動を変えようとしないので状態が変わらないのです。

ただひたすらをひたすらに

「只管打坐」こそ、実はいま多くの若者が求めていることではないでしょうか?

たいていは、ただひたすらになるまでただひたすらになれずに適当にしてしまう。
この曖昧さが苦しみから抜けきれず、依存的な性質を強めてしまいます。
依存的な性質を消費社会は迎合しますので、自分らしさを求めながらも、当人は、トリッキーな消費社会に取り込まれていて気がついていない場合もあります。

しかし認識している人もたくさんいます。
その人たちにとって「只管打坐」は見過ごすことのできない言葉なのです。1950〜1960年代、アメリカで禅が若者の心をとらえたのも自然な出来事だと思います。

 

まとめ

ただひたすらになるまでただひたすらに行動するには、結果ではなくプロセスへの注目をしないとできません。このプロセスへの関心が苦手な人が多いのには、人間関係の仕方の本質的な問題が潜んでいます。
時間にルーズな職場は、人間関係にルーズです。あなたと私、それぞれの24時間があります。
時間内にやり遂げることは、価値前提の経営の基本です。プロセスへの注目を欠かしません。
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