上司としては5つの行動指針をガイドにする上で、「積極性のなさ」を克服する必要があるので、無邪気な子どもの心を増やすようににしていきましょう。
「積極性のなさ」とは、5つの行動指針に逆行する「従順な子どもの心」です。
「従順な子どもの心」が多い部下は、使い勝手が良さそうですが、たいていの場合、問題の種になります。
「多い」という意味は、バランス・配分という点で多いという意味です。
誰もが持っている5つの心
人間には5つの心があります。
- 厳格な父親の心
- 保護的な母親の心
- (一般社会人の良識的な)大人の心
- 無邪気な子どもの心
- 従順な子どもの心
無邪気な子どもの心とは、保護的な母親の心の裏返しと言えます。
従順な子どもの心は、厳格な父親の心の裏返し。
子どもはみんな「無邪気な子どもの心」を持った子どもです。
子どもはみんな無力です。
無力な子どもは、生きるために、成長過程で、環境に順応します。
厳しく育てられた子どもは、生きるために「従順な子どもの心」を多く持つようになります。
逆に保護的な母親(あるいは父親)の影響が強い家庭で育つと「無邪気な子どもの心」を多く持つようになります。
こうして大人になり社会に出ますが、5つの心の内、どれを多く持ったかで人生に対する姿勢は変わります。
本能や潜在能力を使う仕組みを開発する
本能や潜在能力は使えば使うほどバージョンアップされますが、「従順な子どもの心」を多く持ってしまった人は、本能や潜在能力を使おうとしていないのです。
そういう環境にいたから、使わなくて済んだと思いますが、社会では本能や潜在能力を使わないと生きていきないのです。
生きていけないのを生きていこうとするから依存になってしまいます。
そこに会社全体にのしかかる無理があります。
無理を改善するのが、本能や潜在能力を使う仕組みです。
それを作るのがリーダーの重要な仕事です。
その最初の一歩が前回お伝えした増やす言動、減らす言動です。
個々人の顔が見える人数のチームだからできる
中小・零細の少人数の組織は、個々人の顔が見える人数です。
大企業の場合も、チーム単位のレベルになると、中小・零細と変わりません。
ただリーダーが経営者か、サラリーマンかという違いがあります。
環境としては、リーダーは部下をいつも間近に見ています。
部下の側もリーダーの一挙手一投足を見守っています。その点では違いはありません。
どちらのリーダーも、部下個々人に対して様々な要求をし、物足りなさを感じます。
そしてそれ以上に、部下たちはリーダーに対して多くを求め、様々なな不満を抱きます。
「従順な子どもの心」が多い部下は、従順で使うという点では楽そうですが、様々な要求をし、物足りなさを感じるという点では、反応が弱いので、ストレス度は上がってしまいます。
「しろ」と言ったことはしますが、期待した成果に届かないのです。
PDCAで言えば、DOだけがあり、PLANも弱いし、CAもない。
そこで出てくる言葉が無邪気な子どもの心を増やすために、取り上げた「減らす言動」なのです。
個々人の顔が見える人数だからできる。やるんです。
チームに不要な言動は依存心と共に撲滅する
【減らす言葉】
- 悲しい
- 淋しい
- もういいです(感情的になってコミュニケーションを打ち切る)
- すみませんを何度も言う
- できません
- 仕方ありません
【減らす態度】
- 暗い顔をして、ため息をつく
- 受身的姿勢
- 明るい面を見ない
- 他人のせい、状況のせいにする
しかし彼らはリーダーに不満がないわけではありません。
「無邪気は子どもの心」が多い部下以上に、リーダーに対する不満を多く持っています。
- 「能力がない」
- 「決断力がない」
- 「部下の手柄を横取りする」
- 「部下が困っているのに助けようとしない」
- 「指示が明確でない」
- 「会社の目標を丸投げしてくる」
- 「正しい評価をしない」
- 「会社の方針を伝えてくれない」
- 「自分より立場が上の人に接するときと、部下に対するときの言動が違う」
- 「上司の不満ばかり言ってる」
- 「調子の良いことばかり言うが、行動が伴わない」
といった不満が続出します。
「無邪気は子どもの心」が多い部下も言いますが、微妙にトーンが違います。
「無邪気は子どもの心」が多い部下は依存心が少ないので、苦情や文句は言ってもそれはそれとして留めて、自分がやることに関心が強いので、自分の行動に移動してしまいます。
これがリーダーの信頼の基になります。
「従順な子どもの心」が多い部下は依存心が強いので、リーダーや状況のせいにして動こうとしないのです。
依存心が役に立ったのは人生初期だけです。成人には何の役にも立ちません。
捨ててしまいましょう。
リーダーの本分は適切な価値観で人を動かす
見た目は「無邪気は子どもの心」の多い部下の方が態度が悪く見えもしますが、信頼度では断然高いのです。
どちらにしても営業成績で評価せずに、価値観で評価するのがいい結果になります。
この選択ができるのも「リーダーの条件」です。
人の動かし方が適切でないリーダーは、価値観で評価できないのです。
なぜなら、適切な価値観で人を動かせないからです。
会社が成長するもしないも、実はこの一点に大きくかかっています。
適切な価値観で人を動かせないリーダーは、適切な価値観で人を動かせるリーダーを育成できないので、自身が行き止まりになってしまいます。
結局、苦情や文句は言ってもそれはそれとして留めて、自分がやることを行動する無邪気な子どもの心が多い部下に取って代わられる日がやってきます。
そういう人が育たない場合は、全員が「従順な子どもの心」が多い依存心の強い人になります。会社は存続の危機を迎えることになります。
最悪の事態を避けるために、部下のパーソナリティや気持ちの動きを十分に把握して彼らを育てる必要があります。
まとめ
人は誰でも能力が備わっています。
使ってこなかったために使わない習慣が身についた人がいます。
チームはいちばん強いところに引き上げられるのではなく、
いちばん弱いところに、引き下げられます。
だから、無視してはいけませんが、会社は学校ではないので、期限が必要です。
期限に合意して、這い上がってくることなしに、上には行けません。
リーダーの本分は適切な価値観で人を動かすことにあります。
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