ライフシフトを応援するジョ部チームの代表、ゲンキポリタンのミノルさんです。
困ったコトがあればなんでもご相談くださいね。
ここではラテラル・シンキングについてご説明します。
ラテラル・シンキング(lateral thinking)の伝説として有名なのが任天堂のWii、ニンテンドーDSのヒットです。ライバルであるソニーが既存の技術をさらに進化させた最先端技術をぶち込んだ「プレステーション」でロジカルな開発を進めたのに対して、任天堂は正面衝突を避けて、技術ではなく独創的な商品創りにズラして対抗、ラテラル・シンキングによる革命が支持されて大ヒットに結びつけたのです。
この話は時代の変化をうまくキャッチした戦略としてマーケティングの語り草になっていて、人間中心マーケティングをアピールするマーケティングの大家であるフィリップ・コトラーの心をつかみました。
チャンスを拡大する『ラテラル・シンキング(水平思考)』
ロジカル・シンキングは、論理的な思考法なので、使いこなせることができれば、誰でも同じ思考が展開でき。同じ結果を出せるのがセールスポイントの思考法です。なので、使いこなせたら新人でも同じ提案ができるので、キャリアを必要としません。拡大したいコンサルタント会社にとっては、まことに便利な道具として広まったこともあり、ロジカル・シンキングの認知度は高くなりました。
ロジカル・シンキングは、垂直思考とも言います。ロジカル・シンキングと補完関係にある思考法にラテラル・シンキングがあります。ラテラル・シンキングは水平思考とも呼ばれていて、思考を水平に移動させる考え方です。ロジカル・シンキングのように同じ観点で掘り続けるのではなく、違った観点にズラして思考する方法です。
ロジカル・シンキングとラテラル・シンキングの違いを説明する際に、もっとも絵わかりやすい事例を紹介します。
ロジカル・シンキングを使って考えると、1人に2個ずつミカンを分けて、残り1個は半分ずつ分ける、というのが正解です。 一方、ラテラル・シンキングで考えると、「全部をジューサーにかけてジュースにしてそれを2人に分配する」といった回答も正解になるのです。
ロジカルで解決できない課題を突破する『ラテラル』
先に述べたようにロジカル・シンキングを広めてきたのが業績改善に効果的なことからコンサルタント会社です。クライアントの幹部クラス相手に若手でもツールを使えば立派に分析できるとと説いてきました。しかし、ロジカルシンキングは外に表出しやすいデータや情報に依存する傾向があります。任天堂のWillのように、その企業独特の経営資源を取りこぼす危険があります。
そこで現在は、ロジカルの頼りすぎずに、クリティカル・シンキングで正しく疑う、ロジカルシンキングで正しく考える、ラテラルシンキングで正しく発想するというお互いの長所を生かした補完しあう三位一体の思考法を大事にしています。
意思決定に潜むヒューリスティック
正しい意思決定をするには、思考を邪魔する思い込みや常識、伝え方など、「経験則」と同義であるとも言われてヒューリスティック(heuristic)を取り除くようにするのはもちろんですが、逆利用します。
ヒューリスティックとは、「発見的手法」という意味の心理学用語で、直面する課題を解決。あるいは目の前の問題を解決する際に明確な判断基準がない場合に用いる方法として、直感、感情を手がかりに物事を判断していますが、無意識にヒューリスティックを活用しています。ほとんどのヒトが無意識に受けているヒューリスティックの主な類型について説明します。
ヒューリスティックの主な類型には以下のようなものがあります。
- 代表性ヒューリスティック
- 利用可能性(再認)ヒューリスティック
- 係留(アンカリング)と
- 調整ヒューリスティック
- シミュレーション・ヒューリスティック
- 感情ヒューリスティック
①代表性ヒューリスティック
「代表性ヒューリスティック」とは、特定の対象の判断をする際にその対象によくみられる特徴や性質を主な判断の根拠として判断を行うという思考方法のことです。
代表性ヒューリスティックの例で言えば、見た目が外国人であるから外国語を話せるはずだという判断、体が大きいのでスポーツなどが得意そうであるというような判断が挙げられます。完全な思い込み、固定観念です。
Web情報を過信している人は多く、すぐにググって上位にあるサイト情報を受け入れてしまう人は少なくありません。しかし実際には最新情報でない場合も多く、自分のフィルターを通す習慣をつけたいものですね。テレビは正しい情報を伝えていると鵜呑みにしているヒトも同じです。
最終的なゴールを念頭に、原理原則で考える習慣を大事にしたいですね。
②利用可能性(再認)ヒューリスティック
「利用可能性ヒューリスティック」とは、想起しやすい情報や、手に入れやすい情報を基にして物事を判断してしまうという思考方法のことです。<再認ヒューリスティック>ともいいます。私たちは聞いたことのある方の評価を高くして、知らない方を低く評価する傾向があります。
例えば、インターネットの口コミ評価で評価が高いレストランは料理やサービスなどのクオリティが高いと考えがちであること、スーパーなどでの買い物時に迷ったら広告などで見かける人気商品を選びがちであることなどが挙げられます。「知っているから」という判断基準で選ぶことは過大評価になりやく危険なのです。
私たちの意思決定の方法には、今までに自分自身で聞いたことや見てきたものの中で大きな印象を持つに至ったものをベースに物事を判断してしまう傾向があります。
③調整ヒューリスティック
「係留(アンカリング)と調整ヒューリスティック」とは、初めに与えられた情報を基礎的な判断材料、つまり基準として活用して判断を行ってしまうという思考方法のことです。
例えば、お店に行って買い物をする際に特定の商品を見て値札に1万円と書いているものの上から値引き後の価格として5000円となっていた場合にそのものが安く販売されているものと考えてしまうことが挙げられます。
最初に与えられた情報によってその後の判断の結果が左右されてしまうようなことが私たちの意思決定の中には頻繁に見られます。「その数字に妥当性はあるか?」と自分のフィルターを通すようにしましょう。
④シミュレーション・ヒューリスティック
「シミュレーション・ヒューリスティック」とは、自身の今までの経験や先入観から結果(架空のシナリオ)を思い描いて、推定する思考方法のことです。
社会心理学者のスーザン・フィスク教授(プリンストン大学)とシェリー・テイラー教授(カリフォルニア大学)によると、シミュレーション・ヒューリスティックは、将来の予想・因果推論・反実仮想などに使われるとして、以下のように、架空のシナリオに基づいて推定します。
【将来の予想(架空のシナリオ)】
例えば、人前でしゃべるのが上手くできたためしがないという人が、次回の会議でのプレゼンを行うよう指示されたときに、「上手にプレゼンできたことがないので今回も失敗してしまう」と考えてしまうことが挙げられます
→「学芸会で、緊張のあまりセリフを忘れてしまったことがある。今度も、頭が真っ白になり、また失敗するにちがいない」と、過去の経験から未来の失敗を予想する。
成功体験か失敗体験のどちらが自身の中で大きく残っているのかによって、考えつく結果がポジティブであるかネガティブであるか異なってきます。
【因果推論】
デスク上に置いてあったマグカップが割れていた。
→「隣のデスクに積み重なった書類が、私のデスクに倒れてきている。書類の山が崩れたせいでマグカップが床に落ち、割れてしまったのでは」と、原因と結果の関係を推定する。
【反実仮想】
半実仮想とは、事実に反することを想定し、仮に想像することです。
自動車で空港に向かったところ、渋滞に巻き込まれ、フライトの時間に遅れてしまった。
→「車ではなく電車で向かっていたら、時刻どおり空港に到着でき、飛行機に間に合ったのに……」と、事実と異なる想定をする。
⑤感情ヒューリスティック
「感情ヒューリスティック」とは、対象物に対して抱いている好きか嫌いかなどの感情によって異なった意思決定を行ってしまう思考方法のことです。
例えば、同じ商品を売り込まれたとしても売り込みに来た営業マンの人柄に対して好印象を持てば勧めてくる商品の購入に前向きになりやすく、逆に悪印象を持てばその商品の購入を渋りやすくなってしまうとことが挙げられます。
人間には理性と感情があり、人間の意思決定は感情の方によりやすい人が多いことが要因となってこのような思考傾向がみられるのです。ロジカルに判断したつもりでも、そうでなく選択理由を正当化しているケースが多いので注意してください。
- 本当に論理的に考えた結果ですか
- 自分の好き嫌いがベースにありませんか
- 他者の視点や思考で見ても同じ結果になりますか
視点を変える
「成長・成功するためには『3 つの目』(鳥の目・虫の目・魚の目)を持て」という話があります。視点の違いを知って、自由に視点を動かすことができるとラテカル・シンキング力が高まります。
- 「鳥の目」とは、空を飛ぶ鳥のように、物事を高いところから俯瞰するマクロ的に見る目です。
- 「虫の目」とは、虫のように近いところから物事を注意深く見る視点です。 ミクロの視点を持って、現場でしか見えないことを見る目といえるでしょう。
- 「魚の目」は、水の流れを、常時、把握し、その変化を的確に察知して方向を蹴っているする視点です。つまりトレンド・流行を素早く掴むことができ、方向を切り替える力です。周囲の動向にも注意を配ることができ、リスクを最小限に抑えるために迅速に行動します。時代の流れが早い現代ではとっても重要な視点です。
まとめ
ラテラル・シンキングを実践するには、①情報を集める②情報を頭に入れる③情報を醸成する④アウトプットを逃がさない⑤アウトプットを成長させる、以上5つのステップで思考を成長させます。④アウトプットを逃がさないとは、アウトプットしたものは忘れやすいので、記録するように習慣化します。記録しておかないと思い出せない、忘れるので、せっかくのアイデアも無になるおそれがあります。
子どもは固定観念が少なく好奇心が強いので、縦横無尽に視点を変えて楽しみながら知識を吸収します。経験や年齢に関係なく視野・視点を固定せずに、変えることで、新たな可能性や、いまここ、本当にやるべきことがはっきりと見えてきます。
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